読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

春でも怖い、筋肉おばけ怪談

男なのに情けないんだけどさ、俺は入浴剤がけっこう好きなもんで、よく薬局に行くんだよ。ある日いつもの薬局に行って、入浴剤のコーナーに向かってたら、どうもおかしいなぁと思って。店に入った時はさ、そんなに冷房とか強くなかったのに、なんか寒気がするんだよ。やだなーこわいなーやだなーと思って、ふっと、シャンプー売り場のほうを見たら、筋肉おばけがこっち見てたわけ。

f:id:chappy-chappy:20170514093545j:plain

あー これかー どーもやだなあと思って。これだったのかーと思って。筋肉おばけはさ、元々体格がよくて、スピードもあったのに、他のプロと比べても、あり得ないくらい努力家だからさ、トレーニングをひたすら積んだわけでさ。どーもやだなあ、真似できないなあ すごいなあと思ってたんだよ。そしたら、華やかなスタジアムじゃない所で出くわしたもんで、どーもやだなあと思って。

それでさ、本来の目的は入浴剤だから、そっちに行ったわけ。それで、目当ての品を手に取ったんだけど、レジまでの道に、またあいつがいるわけ。

どーもやだなあ 筋肉おばけは、筋肉だけじゃなくて、技術や発想力もあるし、どーもやだなあ こわいなーと思って。でも商品を会計しなきゃ、万引きになっちゃうからさ、仕方なくその道を行ったわけ。

どーもやだなあ そもそも俺の持論ではさ、イマジネーションと攻撃性は、両立しないんだよなあ。ピッチの上で、観客を楽しませる感性は、ある種の芸術性だからさ、それは弱さがないとできないんだよな。娯楽性や表現力は、幼稚な心と関係があるもんで、気弱な人のほうが向いてるわけ。でもやだなー この筋肉おばけはそうじゃないからさ、俺も怖くなっちゃって、はやあしで、シャンプー売り場を歩いたわけ。

それでまた、筋肉おばけの前を通る時に、急にガン!って音が聞こえてさ、なんだなんだと思って、周りを見回しても、別になにもないんだよ。それでふっと筋肉おばけのほうを見たら、俺思い出しちゃってさ。

筋肉おばけは、リスボンっていう田舎で育ったらしいんだけどさ、そこはけっこう訛りがあって、都会の学校に移った時に、周りにバカにされたらしいんだよ。それで怒った筋肉おばけが、からかってきた生徒に、自分の机を投げたんだよな。だから俺が、筋肉おばけの前を通ったあとに、その音が聞こえてきたんだよ。

やだなーこわいなー どーもやだなあと思って。やっぱり強いなーと思って。これがさ、格闘技の選手だったら分かるんだけど、サッカーって球技だからさ、ある程度は曲芸のスキルが求められるんだよ。

ボールの扱いがうまいのは、まだ分かるんだよ。それって結局運動だから。でも例えば、顔の後ろに目がついてるような、彼はヒールキックもよく使うんだけど、そういう創造性と、同級生に机を投げる度胸と、あと筋肉。どーもやだなあ、こわいなーと思って。

それでまあ、なんとかレジで会計を終えて、帰路についたんだよ。どーもやだなあ、あのシャンプーは、どの店にも置いてあるのかなあと思って、ちょっと怖かったんだよな。

そういえば、最近は筋肉おばけの試合見てないなあと思って、久々に、WOWOWのハイライト見たらさ、たまたまバルセロナとの好カードで、筋肉おばけも出てたわけ。

どーもやだなあ やっぱり筋肉と技術すごいなあと思ってたら、ヒゲおばけが活躍しててさ、どーもやだなあと思ったんだよな。

f:id:chappy-chappy:20170514093610j:plain

やだなーこわいなーヒゲいらないなーやだなーと思ってたらさ、後半のロスタイムに、ヒゲおばけが決勝点を決めてさ、その日のMVP。すごいなー やだなーと思って。いやさ、俺もファッションなんてもちろん個人の自由だと思うけどさ、どーもやだなあと思って。

スポーツだって芸術だって事務仕事だって接客だって主婦だって、どーもやだなあ、重要なことの1つに、美しさがあると思うんだけどさ、あのヒゲはちょっといらないかなあと思って。ヒゲおばけも昔はさ、もう少し薄い、整ったヒゲを生やしてた時期もあるしさ、どーもこわいなー。

それで試合は、バルセロナの逆転勝ち。いやーいい試合見たなあこわいなーと思って。

でもさ、やっぱり世の中すごい奴がいるんだなあと思って。筋肉も多いヒゲも、俺が考えるクリエイティビティと違うんだけど、実際にそれを共存させてる人がいるんだよな。どーもやだなあ。

その後、そのシャンプーが置いてある薬局には、誰も近づかなくなったという・・・ 誰もっていうか俺が・・・