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美容院で首の産毛剃られるとき

「なんでもないです」みたいな感じで剃られるの逆に傷つきませんか。多分無駄毛の手入れが行き届いてないことの恥ずかしさに配慮した「なんでもないです」だと思うんですけど、それが逆に傷つくめんどくさい人間の極致の話をします今回。

まあ本来できる男なら普段から首の産毛を処理してるんでしょうけど、僕にとっての「できる」は「住所を言える」とか「靴を履ける」レベルのことなので当然産毛の処理なんてしてない訳です。というか男はまだいいけど女性の皆さんはほんとに大変ですよね。美容に関して少しでも油断したら世間の冷たい目というか、そうはいられない空気がありますよね。当然費用もかさむだろうし、常日頃美しくあろうと努力をしている世の女性の皆さんには感服するばかりです。書くことがなかったので世間の女性に媚びた段落です。

というか今更ですけど皆さんも美容院で首の産毛剃られるとき「なんでもないです」みたいな空気出されますよね。これが共感されてなかったらこの記事終わりなんですけど。ワニの向きが逆になってるラコステのポロシャツの偽物着て美容院に行く僕特有の、「この人はかわいそうな人だからさりげなく産毛を処理してあげよう」みたいな事案じゃないですよねこれ。いや、それならそれでもう完全に不憫の目でこの記事読んでください。

あと「美容師はそんなこと思ってない」っていう意見があるかもしれませんね。これに関しては正直空気を感じ取る能力が低い人の意見だと思います。人は当然感情や思考の全てを表に出す訳ではないですが、その思いは必ず空気として現れます。心理学的には表情の変化とか色々あるのかもしれませんが、僕が言いたいのはもう少し漠然とした雰囲気みたいなものです。人が行動に出る時の想念や波動のようなものが何となく受け手に伝わる、そういう経験は誰にでもあるのではないでしょうか。僕はこの「相手の思いを汲む」ということに関していきすぎるところがあって、例えば困ってる人を見た時に自分とは関係なくてもその人に寄り添って一緒に考えてしまうんですよね。これ何アピールか分からないですけど、とにかく僕にとって美容師の気遣いを見抜くことはそう難しくないのです。

 で、「なんでもないです」の何が嫌かと言うとやはりコミュニケーションで楽をしようとしてるところですね。本来なら「あなたの手入れが行き届いてないので恥ずかしいでしょうけど私が代わりに産毛の処理をします」という意思を伝えないとダメですよね。もちろんここまで直接的に言う必要はないですが、「なんでもないです」で事なきを得ようとするのは違うと思います。もしこれをやるならその思いを相手に悟られないようにやるべきです。「嘘も突き通せば真実になる」とはよく言ったもので、「これからあなたの恥ずかしい毛を剃るけど別になんでもないです」の思いを悟られることなく無事に剃毛を終えれば、美容師と利用客、どちらにとっても平穏な関係が築けます。しかしこれを見抜いてしまう人間、父親の階段を上る音で機嫌が分かってしまう僕のような人間にとっては、この「なんでもないです」がすごく楽をしようとしてるように思えるのです。それと同時に自分の産毛はここまで気を遣わせてしまうほどにボーボーなのかと落胆してしまいます。冒頭の傷つくとはそういうことです。

物事は必ず表裏一体になっていて、楽をしようとすると後にそのツケを払わされることになります。今回の件だと「何も言わずに産毛を剃って穏便に済ませよう」という怠惰な思いが一部の人間を傷つけています。人間は元来怠けようとする生き物ですが、そこで立ち上がって努力を重ね勤しむ人こそが本当に幸せになれるのではないでしょうか。

最後に僕の理想の産毛処理法を申し上げます。まず髪の毛に使っていたハサミをしまい、「細かい毛をカットしていきますね」と一言添えた上でバリカンを取り出し、精神的には「ここまでの手入れはなかなかしないですよね」のオーラを出し客に寄り添いながら優しく処理する、これがベストだと思います。結局人間関係を充足させるのはこういう優しさ、愛しかないのです。愛を芽生えさせなさい。そしてその心で産毛を剃るのです。あなたが愛を振りまけば周りもあなたに愛を返してくれるのですから。