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花柄パンツ買いました

笑いの自主性とファッションの自主性を8:2くらいで天に授けられた僕ですが、先日花柄パンツを買いました。

なんかそれまでもファッションが嫌いで、ファッションが嫌いって言うと逆におしゃれを極めた人みたいですけど、そういうんじゃなくて純粋に嫌いだったところにネット上の知り合いに服装を酷評されたんですね。知り合いっていうのは大喜利サイトの知り合いで、あろうことかネット大喜利ユーザーの服装の写真を集めてチェックします!とか言い出したんですね。いやチェックしますじゃねーよ。テキストでの笑いでしか勝負できない、根暗と陰鬱の混合種みたいな連中がおしゃれな訳ないだろ。お前のやってることはあれだよ、昔遊園地とかにあったボールがいっぱい入ってる遊具に中年男性を放り込むようなものだよ。ちょっとはにかんで終わるよ。そんな訳で断固として参加を表明しなかった僕は、「このまま平穏に暮らせれば、それでいいのかもしれないな。人の子として」と意味深な発言をする主人公の里親の感じでいたんですが、ところがどっこい、冒頭の大喜利スキルへの配分が災いし、主催者が「大喜利が強い人には出てほしいんですよね」と言ってきたんですね。この時僕の脳内会議では「罠だ!」派が多数で、ひとり黒人が「ワナダ!」って言ってたんですけど、なにぶん笑いが好きな人間というのは空気を重んじるきらいがありまして、誘われるとなかなか断れないんですね。まあ別に3分間ひとり漫談をやれとかじゃないし、協力してあげるかという感じで渋々服装の写真を送った訳です。

ここからは思い出したくもない、できればカウンセラーの先生と少しずつ記憶の糸をたぐっていきたいんですけど、まず畳を笑われたんですね。なんか他の参加者は自分が服を着用してそれを鏡の前で撮るスタイルだったんですけど、僕の家には全身が映る鏡がなくて、唯一片付いていた和室に服を置いて撮影したんです。そうしたら「あー そろそろ交換の時期ですねー(笑)」とか言われて何のことだと思ってたら畳だったんですね。いや確かにうちの畳はもう限界を超えてコーンフレークみたいな色になってるけど、まさか着水する前、飛び込み台に立った時点でお前の泳ぎ方はおかしいと言われるとは夢にも思わなくて、この時点で指先が少し震えてたんですね。で、この企画は複数の女性大喜利ユーザーがファッションを評価するんですけど、まあボロカスに言われたんですね。詳しくは僕が僕を守るために省きますが、中学の女子グループの一人、美紗子を泣かせた僕とそれをとっちめる女子グループのような関係が成立していました。美紗子泣かせてないのに。

でまあそういうことがあってしばらくは落ち込んでたんですが、ある時にこれをきっかけにファッションに興味を持とうと思ったんですね。自分でも不思議な心境の変化で、いつもだったらそのまま沈んでるところが、ユピー戦のシュートみたいな感じで飛翔したんです。さりげなく女性を魔獣に例える最低な文章でしたけど、そういう気持ちが芽生えたのです。

僕がファッションが嫌いな何よりの理由として、店員との接触があるんですね。これは根暗界隈の人間を集めてアンケートを取れば明確になると思うんですけど、おしゃれの象徴のようなショップ店員と一緒に服を選ぶというのは拷問なんですよね。僕なんかは担当してくれた店員さんから逃げようと少しずつカニ歩きで移動するんですけど、店員さんもそれについてきて、もう1回逃げたらまた店員さんもついてきて、「なんだこれなんの競技?」ってなるんですよね。「じゃあ断れよ」って思うかもしれませんが、服屋に行く度にサービスで商品を選んでくれる店員さんの善意を断るのは心苦しいし煩わしいのです。

そこでどうしたものかと考えていたところ、前に僕がR-1グランプリで女装するための衣装をネットで買った(1回戦敗退)ことを思い出しまして、ネット通販という手段を取ることにしました。これがなかなか便利で、当然店員さんは来ないし、自宅でじっくり見るから割と落ち着いて選べるんですね。それでおしゃれの不安障害を抱えている僕としましては、今までズボンと言えばジーパンかチノパンという狭い世界で共感を得るあるあるを実践してたんですね。なので今回をきっかけに違うズボンを買おうと思いまして色々見ていたら、表題の花柄パンツにたどり着きました。なんか基本的にファッションは嫌いだけど自分のセンスを過信してる僕としましては、単純に「これかわいい」と思ったんです。それは今までの服装への無頓着からの反動か、昔見た花畑で寝そべるプーさんのイラストへの憧憬かは分からないんですが、一目見て惹かれたんですね。それでまあ15%オフという花柄=ファンタジーっぽくない値引きも相まって購入した訳です。

闘病中の僕の外出先といえば、大体病院しかないんですね。従って件の花柄パンツを穿いていけるのは病院だけなんですが、リハビリに道化師みたいな格好で赴くのはどうなんだという葛藤で20分、今までとあまりにも趣向の違う格好で登場したらどう思われるんだろうという不安で20分、そもそも花柄ってどうなんだという疑問で20分の合計60分の長考に入りました。特に2番目の問題は深刻で、今までいくらなんでも深すぎるだろって色のブルーの地味なジーパンを穿いていた僕が、花柄、そう他でもない花柄、HANAGARAを着用することに対する違和感が、はごろもフーズのCMの波紋のように広がっていき、やがてそれは拭えない猜疑心に変わり、neither 花柄 nor 花柄の状態になったんです。

そんな僕を救ったのが、他でもない僕のお母さんであり、血肉を分けた僕のお母さんこと京子さんなんですが、自室で花柄パンツを試着し、絶望の輪舞曲を舞っていた僕に「あらそれ、かわいいじゃない」と言ってくれたんですね。時に他人の評価というのは素晴らしい効力を持つもので、自分を客観視できなくなっていた僕にとって何よりの一言でした。

ここから街中や病院で笑われたとかそんな話もなくて、ただただいい買い物だったなというだけのことで、もしファッションで悩んでる人がいたら是非ともネット通販をおすすめしたいなという記事です。コンプレックス解決の糸口は意外と簡単なところにある場合があって、そういう最後急にインディーズバンドの歌詞みたいなことを言う文章でした。あとタイトルを入力しようとしたら、派ながらが変換候補の一番上に出てきた意味が分からなかったです。終わりです。